スヌープ・ドッグ「Neva Left」90s西海岸に回帰したアルバムを1聴レビュー

 

 

西海岸のベテラン

Uncle Snoop Doggがアルバム「Neva Left」を引っさげて帰ってきた。Playatunerでは以前からこのアルバムから公開された曲たちを紹介してきたが、ついに本日リリースされたのだ。彼の15枚目のアルバムとなる「Neva Left」では、様々なサプライズがあったので、1聴レビューという「1回だけ聞いてレビューをする」という形で紹介をしたい。

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今作はDoggystyle時代にChu Moduによって撮影されたアルバムカバーからもわかるように、とてもオールドスクールな内容になることが予想されていた。その予想をしていたにも関わらず、1曲目「Neva Left」ではいきなりサプライズがあるのだ。この曲ではWu-Tang Clanの代表曲「C.R.E.A.M.」と同じThe Charmelsの「As Long As I Got You」のサンプルを使用しているのだ。「うお、狙ってきたな」と言わざるを得ないサンプルチョイスとなっている。Issac Hayesが作曲したこの曲が2017年に再度使用されるとは…!

このアルバムのテーマは全体的に「俺は昔からいるし、今もずっとイケてるぞ」という内容となっている。3曲目の「Bacc in da Dayz(当時は〜)」という曲では、A Tribe Called Questの「Check the Rhime」のQティップサンプルをガッツリ使用しており、「当時」のスヌープのGライフを歌っているラップとなっている。Big Tray Deeeが最後に語っているのがわかる。

このアルバムはTrash Bags以外のトラックは全体的に「普通に良いな」という感想を抱いた。大ヒットとなるようなキラートラックはないものの、平均的にノレるG-Funkサウンドとなっている。シンセベースが目立つ作品となっており、Devin the Dude/Wiz Khalifa,/DJ Battlecatをフィーチャリングした「420」、Redman/Method Man/B-Realをフィーチャリングした「Mount Kushmore」、「Still Here」では90s西海岸を彷彿とさせるトークボックスのサウンドも聞くことができる。トークボックスについてはこちら

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11曲目の「Lavender」は、以前話題になった「トランプを撃つMV」 の曲であり、BBNGとKaytranadaがプロデュースしているのもありサウンドのクオリティは素晴らしく、他のトラックと少し違う色である。12曲目の「Let Us Down」では先日素晴らしいアルバムをリリースしたKRS-One が1stヴァースをスピットしており、彼のダイナミックなラップがどこか懐かしさを醸し出す。「Mount Kushmore」についてはこちらにて説明しているので、是非チェックしてほしい。

このアルバムにて最も注目していたのは、2ndアルバム「Tha Doggfather」に収録されていた「Vapors」のリミックスだ。元々「Vapors」はDJ Poohによってプロデュースされていたのだが、今回はDJ Battlecatがリミックスをしており、なんとファンクレジェンドThe Gap BandのCharlie Wilsonもフィーチャリングされている。Charlieをフィーチャリングしているとしたら「Doggfather」か「Snoop’s Upside Your Head」のリミックスを聞きたかったという気持ちもあるが、アルバムのテーマとして「Vapors」のリリックのほうがあっていたのだろう。自分の仲間たちNate Dogg、Daz Dillinger、Warren Gが成功し、今まで見下していた人たちを見返すストーリーは「Neva Left」にピッタリだろう。恐らく今回のリミックスではヴァースを再録しており、1996年の「Tha Doggfather」バージョンと比べると面白いだろう。

 

そしてもう一つのサプライズがあるとしたら、Still Hereにて登場するケンドリック・ラマーであろう。ラップをするわけではないが、「ビッグスヌープは今まで一度も去っていないぞ」と言うだけであるが、彼の声が入った瞬間「え?フィーチャリングされてるの?」と思うだろう。フィーチャリングはされていないが、ここでも西海岸のバトンを見ることができる。これでKurupt、Daz Dillingerなどがフィーチャリングされていれば、さらに90s西海岸ヒップホップを彷彿とさせるものになったと感じる。Trash Bagsのように近年のトラップをやっているトラックもあるが、とても後発的な感じがして、やはりスヌープのフロー的にはFunkよりのトラックが合うことがわかる。

このアルバムは「バンガー」があるわけではないが、夏に流しておくのにピッタリな西海岸ヒップホップとなっている。G-Funkファンの皆さんは聞くことをオススメする。

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