Denzel Curryインタビュー!2010年頃のインターネットでのカムアップや、数字「13」に込められた意味を語る。#booze813

New Kaz Skellington!

 

2018年10月から2019年3月末まで放送される、Playatuner代表Kaz Skellingtonがナビゲーターを務める番組J-Wave「Booze House」。毎週木曜日26:00〜の30分間となっており、ブラックミュージックをはじめとする洋楽を掘り下げる番組だ。その放送の内容のリキャップを記事化し、実際にどのような内容を話していたのかを紹介したい。今回は2019年1月31日に放送されたDenzel Curryのショートインタビューを紹介したい。

 

Denzel Curry Interview

2019年の1月に、LIQUIDROOMにて初の来日公演を行ったDenzel Curry。彼についてはPlayatunerで何度か取り上げており、若手のなかでも最も勢いのあるラッパーだ。以前は彼のライブ・パフォーマンスに対するこだわりを紹介したが、実際にライブを見た結果、彼の熱量に圧倒されてしまった。Kaz Skellingtonは、彼と会ったときの第一印象を「まっすぐを見据えて、突き進む若者であり、物凄いエネルギーを持っている人」と語っており、1曲目にはそんな彼のエネルギーが伝わるような楽曲を紹介。

 

マイアミシーンを代表する若手ラッパーであるDenzel Curryは、2011年にミックステープ『King Remembered Underground Tape 1991-1995.』を同郷のラッパー、スペースゴーストパープのウェブ掲示板に投稿したことがきっかけで、世に出た。その後スペースゴーストパープのグループ、レイダー・クランに加入する事となる。2016年には2ndアルバム「Imperial」をリリースし、  ヒップホップ雑誌XXLのXXL Freshman 2016に選出された。2018年に3rdアルバム『TA13OO』をリリースした。

 

Kaz: どのような音楽の影響を受けて育ったのでしょうか?

Denzel:自分の兄も母も父親も音楽が好きだったから、色んな時代の音楽を昔から聞いていたんだ。父親は1950年代に生まれたから、James Brown、Isaac Hayes、OJaysとかを教えてくれた。母親は、2Pacとかを教わった。兄からは2000年代の音楽を教わり、Jeezy、昔のT-Pain、Jay-Zなどを聞いていたよ。

Kaz:最初、ミックステープをインターネットでアップしたことがきっかけでTyler, the Creatorとかに注目された記憶があるんですけど、その時のことについて教えてくれますか?

Denzel:当時、インターネットにアップすることによって、Earl Sweatshirtや、Tylerの注目を得ることができたんだ。Odd Futureが自分の音楽に注目してくれていた。当時は今と違って、普通にインターネットでそういう感じで注目されることができた。今では毎日大量の曲がリリースされているけど、当時はDatpiffでミックステープを公開していたんだ。まだFacebookに若者がいた頃だったから、YouTubeとDatpiffにアップして、投稿すれば広めることができた。今はFacebookは年が上の世代しかいないし、音楽は広まらない。

 

彼やHopsinのようなアーティストの活動を追いかけてみると、当時のインターネットやSNSの状況が伝わってくる。2010年〜2011年はまだそこまで大量に毎日楽曲がインターネットでリリースされていなかった時代であったため、SNSでの拡散のされ方も違った記憶がある。特に当時は、Facebookのアーティストページが充実しはじめたぐらいの時期であった記憶もあり、良い音楽をFacebookで拡散する文化が「最先端」という感覚もあったのだ。

そんな彼の最新アルバム「TA13OO」であるが、アルバムの「B」を代用するように、頻繁に使用されている「13」という数字について聞いてみた。

 

Denzel:「13」という数字は、24時間表記で換算したとき、数字の1になる。それ以外にも、「13」という文字は続けて書くと、「B」という文字に見えるんだ。「B」は「Black」であることの頭文字であり、「13」というのはアンラッキーな数字として知られている。だからこそ逆に「13」を自分のラッキーナンバーにすることにしたんだ。自分の人生はアンラッキーなことが多く、特に「Black/黒人」としてアメリカで生きるということもそういうことだ。だから逆にそのアドバンテージを取るために、ラッキーナンバーとして使うことにした。

 

2曲目は、この「Black」であることにも関連してくる楽曲をお送りした。

 

最新アルバムである「TA13OO」を聞いていると、共通して「死」を感じると語ったKaz Skellington。

 

Kaz:「TA13OO」を聞いていると「死」の影を感じるんですけど、このアルバムを作ったときの心境を教えてもらえますか?

Denzel:自分の幸せへの道を歩むために、自分の人生をそのまま伝えようと思っていたんだ。今はハッピーだけど、実際にアルバムを作り始めたときの自分は違った。自分自身に囚われて、躁鬱のような感じになっている時期もあった。それで身近な人に怒ってしまったりもしたんだ。「MAD I GOT IT | MAD 1 GOT 1T」のように、自分を裏切ったり、友達のふりをして自分を利用してくる人たちについてラップした曲もある。でもいつか自分は凄いやつになって、それが過ちであったことを証明する気持ちもあった。自分をそうやって陥れようとしたり、殺そうとする人たちは嫉妬をしているんだ。

Kaz:そうですよね。わざわざ時間をとってくるヘイターたちは逆に「どんだけ好きなんだよ!」って思うときもあります。

Denzel:わざわざ時間をとって自分を貶してくるヘイターたちは、かなり嫉妬しているか、逆に愛しているかだよ。

 

「TA13OO」では自分の人生をそのまま伝えようとしたと語ったDenzel Curry。そのなかには、鬱や死を連想させるものもあれば、彼の溢れんばかりのエネルギーを惜しみなく出したものもある。その表裏一体のエネルギーを歩んできた彼の人生を表現したものが「TA13OO」なのだろう。そんな「TA13OO」では「13」という数字がモチーフとなっているが、彼はこのアルバムの製作中に起こった不思議な出来事を教えてくれた。

 

Denzel:このアルバムが上手くいくと確信していたんだ。一つのことにフォーカスをしていると、日常生活に啓示が現れるようになる。どこにいっても「13」という数字を見るようになったんだ。そのように強く願うと、日常生活に兆しとして出てくるようになる。アルバム「Imperial」を作っていたときも「Imperial」という言葉を日常で見かけるようになったんだ。

Kaz:結構そういうエピソードって聞きますよね。Jay-Zの「4:44」も、リリックを書いてるときに時間を見たら朝4時44分だったとか、Pro Eraが「47」という数字をモチーフにしている理由とか。

 

強く願うと、その兆しが日常生活に現れるようになると語ったDenzel Curry。実際には、その単語や数字に敏感になっているため、印象に残りやすいという理由もあるのかも知れないが、このような出来事が作品のインスピレーションになることが間違いない。

最後に、Playatunerでは毎回アーティストに聞いている質問を聞いてみた。

 

Kaz:これはアーティストに毎回聞いてる話で、自分のやりたいことをやるのって、この社会で生きる上で難しいことだと思うんですよね。そんななかで、カムアップというか、どのようにしてここまでの道を作ってきたのかを聞きたいです。

Denzel:とにかく「Grind」をすることだ(毎日目標に向けて努力すること)。自分がやっている活動を飯として食うように、それを息を吸うように、その活動をしないといけない。俺も1曲作ってこうなったわけではなく、めちゃくちゃハードに頑張ったし、自分のマネージメントチームもめちゃくちゃ頑張ってくれた。でもそれをやる上で重要なのは、自分をちゃんと信じることだ。マネージャーが自分のことを信じてくれていなかったら、彼に何ができるんだ。もし自分のことを信じていなければ、そもそもなんのためにやっているんだ?

親や先生は、自分が「失敗作」として見られないように、安全な道を歩んでほしいと思うんだ。そのルールというか安全な道は、統計上ある程度の結果は出る。自分がやっていることは最初は誰にも理解されないかもしれないけど、結果が出れば徐々に理解されるようになる。

Kaz:ありがとうございました!

 

 

「Grind」とはPlayatunerでも頻繁に取り上げていたトピックである。毎日目標に向けて突き進むことであり、Denzel Curryは自分の活動を「息を吸うような感覚で」やるぐらい、毎日当たり前のようにやらないといけないと語った。他の人たちを信じさせるためにも、自分を信じないといけないと語った。

Denzel Curryをインタビューした結果、Kaz Skellingtonはこのように語った。

Kaz: 彼は真っ直ぐを見つめた青年で、話しているときもずっと目を見てくる。彼の「もし自分のことを信じていなければ、やるべきではない。そもそもなんのためにやっているんだ?」という発言が印象に残っているんですけど、世の中全員が自分に自信を持てるわけではない。「なんのためにやってるんだ」って質問には、そのなかでも「自分に自信がなかったり、信じることを難しいと思っている他の人たち」のためにやるってのもありなのかな、と思いました。

 

次回は「グレイテストラッパーは誰だ!?偉大なラッパーたちの偉大なポイントを解説!」Rakimからケンドリック・ラマーまで、Kaz Skellingtonが個人的に評価するポイントを解説した回を記事化します。

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