Stones Throwがレーベルとして何故最高にイケてるのか?創業者Peanut Butter Wolfの理念から見るその理由
最高にイケてるインディーズレーベル
と言ったらStones Throwであろう。Madlib、J Dilla、MF DoomなどのベテランからNxworriesやMndsgnなどの作品を世に出してきた彼らほど個性的で面白いレーベルはないのだろうかと感じる。1996年にPeanut Butter Wolfが立ち上げたStones Throwであるが、何故20年間も最前線で最高の音楽をリリースし続けることができるのだろうか?
そこには創業者Peanut Butter Wolfの理念が深く関係している。このレーベルとは彼にとってとてもパーソナルなものであり、彼の「想い」がとても詰まっているのだ。Stones Throwのサイトに彼が長文で音楽について語っているページがあるのだが、そちらの注目すべき箇所を紹介したいと思う。何故成功しているのかを見ることができる。
Peanut Butter Wolf:Stones Throwは私にとって、とてもパーソナルレーベルなんだ。自分が個人的に好きなものしかリリースしないし、それ以外の音楽は他のレーベルのためにとっといてあげるんだ。レーベルのエグゼクティブプロデューサーとして、「人々」が好きになる音楽ではなく、私が個人的に好きなものをリリースするんだ。今までこの方法が上手くいってきたし、もしこれが上手くいかなくなったら、それはStones Throwの終わりを意味する。「これは売れそうだな」と思っても、曲が好きじゃないから契約しなかった、という事例もいくつかあった。ビジネスとしては悪手なのかも知れないし、ファイナンス的な目で見たらそうなんだけど、レーベルを前に進めるものは売上だけじゃないんだ。もしお金が自分のモチベーションだったら、今頃大金持ちになっているだろう。いつか大金持ちになるかも知れないけど、それは自分が良いと信じている音楽を世に出してきた結果にすぎないだろう。
自分がアーティストであることもあり、所属しているアーティストには自分たちでプロモーションの予算などを決めてもらうんだ。売上から経費を引いた残りを皆で分け合う。自分のプロモーション費を決めれるということから考えると、とても理にかなっている。これはMV、ラジオプロモーション、ストリートチーム、ステッカー、ポスターなど全部のプロモーションに該当する。
Peanuts Butter Wolfの「自分が良いと思ったものをリリースする」という理念が形となり、Stones Throwが「良いレーベル」となっていることが伝わってくる。さらにここでわかるのが、彼がいかに「音楽が好き」かだろう。音楽よりもビジネスが好きな人であれば、このような形にはならないはずだ。彼の「音楽がとにかく好き」という気持ちが具現化されたものが「Stones Throw」なのだ。ジョジョで例えるとPeanuts Butter WolfのスタンドがStones Throwなのだ(?)。さらに面白いと感じたのはプロモーション費と売上の件だ。なんとアーティストたちは自分でプロモーション費を決めることができ、さらには売上も皆で分け合うという、まさに「ファミリー」的な運営をしている。全員が全員のセンスを信じているからこそできることであろう。
ネット時代だとこのようなレーベルを作りたいという人は多い。そのような人たちにとってもとてもインスパイアリングな話である。
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