若手にアドバイスをするアンクル・スヌープにとって、アンクルとなった存在は?Snoop Doggの若手へのアドバイス

 

 

寛容なアンクル・スヌープ

Playatunerでは「新世代を理解できない時もあるが、寛容なスヌープ・ドッグ」通称アンクル・スヌープについて何度も紹介してきた。スヌープ・ドッグは、昔は自分が新しい風を吹き込んだ側だったため、若い世代には寛容な「オジさん」的な立場であった。詳しくは下記の記事がオススメである。

【Uncle Snoop】スヌープ・ドッグ「近年のラッパーは皆同じようにラップする」。ラップゲームで生き残る方法とは?

そんな彼であるが、時には若手のスタイルをネタにしたり批判しつつも、独自のYouTube番組GGNにて若手を呼び、サポートをしている。特にファイナンシャルなアドバイスや、キャリアを長続きさせるための意見などを若手に伝えているのだ。若手がやっていることを理解できなかったとしても、それを否定せずに話を聞く姿はまさに「アンクル・スヌープ」である。彼もデビュー当時に新しいスタイルで世に出たため、多くの批判を受けたのだろう。そんな彼が若手にたいしての「アンクル」であることについて語ったインタビューを紹介したい。

 

ホスト:若いラッパーたちがお金を稼ぐことしか興味なかったり、インスタグラムとかで車とかお金を見せびらかしているのをどう思う?

 

Snoop:とても重要だと思うよ。だって皆それを夢見てたわけだからね。だから若いラッパーが夢を叶えて、現実にしている感じは素晴らしいと思うよ。だからそれは褒めるべきことだと思うし、批判することではない。でもその「メッセージを伝える」という部分でミスコミュニケーションが起こるんだ。重要なのは、どうやってメッセージを伝えるかだ。

例えば「なんでそんなことに大金使ってるんだ!」って怒るのは簡単だけど、そうじゃなくて「そのお金、こういうところにも投資してみたら?もっと稼げるかもよ?」って提案するんだ。同じメッセージだとしても、オプションを提案するんだ。批判ではなく、より良い環境を与えたいからアドバイスをする。だから俺は「アンクル」スヌープになった。

 

若者のインスタグラムの「フレックス」などを批判する人は多いが、Snoopはそこまでたどり着けた努力を讃えるべきだと語った。しかし単に褒めるのでもなく、批判をするのでもなく、他の選択肢を見せることにより、「提案」をするのだ。もしかしたら若くしてお金をゲットし、大金を消費しまくっているラッパーは他の使い方を単に知らないだけなのかもしれない。Jay-ZがThe Story of O.J.にて資産を増やす方法について語ったのも、Snoopのようなメンタリティであるからに思える。さらにSnoopはロールモデルでいることについて語る。

 

Snoop:世の中の人達は「聞いたこと」は信じないけど、見たものは信じる傾向がある。インスタで自分が所有する多くの車とか金のチェーンを見せびらかすのではなくて、ビジネスをやったり、色々なものをプロモーションしている様子を見せているのは、自分の責任を果たしているからなんだ。俺も若いときには、今の若いやつら同じようなことをして周りを影響していたからね。俺も若いときには金しか興味なかったし、逆に契約書とかビジネスに興味がなかったら逆に損もした。「Tha Doggfather」が200万枚ぐらい売れて、自分が得るべき金額が正しくないって気がついたのきっかけで色々変わったんだ。

でもそれは自分のせいでもあるし、俺には元々良い弁護士がついていなかった。デスロウとDr. Dreに「ここにサインしろ」って言われて、目先しか見えていなかったから何も疑問を持たずに契約をしたんだ。もちろんこういうビジネス面でスマートな若手もいる。Lil Yachtyなんかはナウティカとかと契約したり、非常に多くのビジネスをやっている。彼はシャープなやつだよ。単に名前を貸しているんじゃなくて、デシジョンメーカーとして参入している。彼が参入してナウティカは復活したしな。

 

自分が実際にビジネスをやったり、色々なプロモーションをやっているとこを見せるのが重要だと語った。そのようなビジネスサイドを興味を持たせるだけでも非常に大きな意味があると感じる。さらに彼自身がビジネスで損をしてきた経験があるからこそ、伝えられる面なのだろう。Lil Yachtyも、自分の楽曲のパブリッシングをどこの会社がやっているかわからないということもあったが、彼は広告塔として、昔の若手アーティストでは信じられないほど稼いでいることが予想できる。

そんな若手にアドバイスを送るSnoopであるが、Snoopにとってのロールモデルは誰だったのだろうか?それは彼が「アンクル」と呼ぶ、いわゆるアンクルのアンクルである。今回の「アンクル」はSnoopと頻繁にコラボをしているファンクレジェンドのシンガーである。

 

Snoop:俺にその役割をしてくれたのはThe Gap Bandの「チャーリー・ウィルソン」だよ。チャーリーは人生やビジネスについて色々アドバイスをくれた。彼はかなり昔から警告をしてくれてたかな。いつも「ネフュー、これについてちゃんと考えないと駄目だぞ」って言ってたけど、俺は無視してたんだ。でも自分のファイナンスが上手く行かなくなったとき、アンクル・チャーリーが言ってたことを聞かないと、って思ったんだ。彼は自分の身の回りの問題を見直す機会を与えてくれた。

 

The Gap Bandについては一度Playatunerでも取り上げているので、是非チェックしてほしい。特に「Tha Doggfather」ではThe Gap Bandをサンプリングしたり、チャーリーと頻繁にフィーチャリングしているので、Snoopにとって彼の存在は大きかったのだろう。ちなみにネフューとは「甥」の意味であるが、彼らは実際に叔父と甥の血縁関係があるわけではない。Crips文化でもそうであるが、彼らは黒人同士の「ブラザー」と同じノリで、年上の尊敬している人は「アンクル」、同年代の仲良い人は「カズン」、年下の慕ってくれている人を「ネフュー」と呼ぶため、実際に血縁関係があると勘違いする人は多い。(Boosty Collinsとの関係もその一例であろう。RBXとSnoopは実の従兄弟同士であるが、RBXとBootsyは同じ苗字であり家族ぐるみで仲が良いが、血縁関係はないとRBX本人によって語られている

彼は若い時に、実際に自分で失敗をしているからこそ、学んだのだろう。この「失敗経験」が重要な箇所であると感じる。確かにOGが若手に様々なアドバイスをすることはよくあることかも知れないが、この失敗経験を自分が語ることにより、「共感」を促すことができるのだ。このように「批判」ではなく、メッセージの伝え方を考えて全員がプラスになれるような「アンクル」であることを選んだSnoop。彼はアンクル的な存在になったが、まだまだアーティストとしては止まることはないだろう。

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