ケンドリック・ラマーが日曜日にもう1枚アルバムをリリースすると噂される理由をリリックとコンセプトから徹底解説!

(追記:リリースされませんでした。)

壮大なストーリー

本日ケンドリック・ラマーの「DAMN.」がリリースされた。ヒップホップ業界は今日一日ケンドリック三昧であり、皆さんさぞかし忙しかったであろう。まだ聞くことができていない方はこちらから聞くことができる。実はこのケンドリック・ラマー「DAMN.」であるが、米ツイッターにてとある推測/憶測が立っていることを知っているだろうか?

その推測とは「ケンドリックが日曜日にもう一枚アルバムをリリースする」という内容である。「は?何言ってんの?」と感じる方も多いと感じるが、充分に考えられる伏線がいくつかあるのだ。米XXLが記事にまとめてくれており、日本の他社メディアでも既に紹介されているので、おさらいしつつ、Playatuner独自の説を付け足し詳しく紹介したいと感じる。半分妄想小説のような内容であり、ケンドリックに関しての予想が最近ことごとく外れているので、創作物として楽しんで欲しいと感じる。(追記4月17日:何もリリースされませんでした!

 

マトリックスと赤/青説


こちらは既に説明されている箇所なのだが、「赤」と「青」という色を聞いて何を思い浮かべるだろうか?LAのヒップホップに精通している人であれば二大ギャングの「Bloods」と「Crips」を思い浮かべるだろう。その2色を覚えておいてほしい。偶然かも知れないが、「DAMN.」の一曲目は「Blood.」である。

さらにケンドリックがこのアルバムには収録されないプロモーションシングルとしてリリースした「The Heart Part 4」では「I dropped one classic and I came right back(1つのクラシックをリリースし、すぐに戻ってきた)」とラップをしている。最初はgkmcからTPABについてだと思っていたが、時間のスパンを考えると「すぐに戻ってきた」というほどではないだろう。そう考えると「The Heart Part4」は過去についてではなく、今後起こることについてラップをしていた可能性がある。

さらに「with TOC, you see the flames. TOCと炎のように熱いものが見えるはずだ。」とラップをしているのだが、TOCが「The Other Color(もう片方の色)」という意味を指していると指摘しているファンもいるのだ(これは少しこじつけ感が増すが)。

そして色に関しての最大の謎は「DAMN.」にも参加しているプロデューサーSounwaveのツイートである。実は既に水曜日か木曜日ぐらいにこのアルバムのデータはリークしていたのだが、彼はこのようにツイートしていたのである。

もしリークしてるのが正式なバージョンじゃないと言ったらどうする…?

こちらのマトリックスのモーフィアスのツイートが最も強い説である。このソファに座っているシーンでモーフィアスが言う台詞を覚えている方はいるだろうか?機械によって作られた偽の世界に人類が幻想を見せられている世界にて、モーフィアスは救世主となる主人公NEOにこのように伝える。

You take the blue pill—the story ends, you wake up in your bed and believe whatever you want to believe. You take the red pill—you stay in Wonderland, and I show you how deep the rabbit hole goes. Remember: all I’m offering is the truth. Nothing more.

「青いピルを飲むと・・物語はおしまいだ。ベッドで目覚め、あとは好きに考えれば良い。赤いピルを飲むと・・君は不思議の国にとどまる。ウサギの穴がどれだけ深いか見せてあげよう。」

この青いピルと赤いピルの表現は英語の文学作品に度々登場したこともあるフレーズなのだが、

・赤は知識、自由、そしてたまに辛い真実

・青は嘘、安心、無知な幻想

を表している。Sounwaveがツイートをしている画像のモーフィアスが座っているソファはそのシーンに一致しており、どうやらこの章の序盤に説明した「赤」「青」と一致しているのだ…!

さらにそれだけではない。「DAMN.」のアルバムカバーの後ろの壁は赤であり、なんとSpotifyにおけるアーティスト写真のバックは青なのである。

 

ここまでの説をみて皆さんはどう思いますか?ただの偶然に過ぎないと思いますか?

しかしマトリックスと色に関連している節はここで終わりではない。2曲目「DNA.」のリリックにてこのように語られている。

My DNA not for imitation
Your DNA an abomination
This how it is when you’re in the Matrix
Dodgin’ bullets, reapin’ what you sow

俺のDNAは真似できるものではない
お前のDNAは憎悪だ
マトリックス(仮想世界)にハマっている状態だ。
銃弾を避けながら、自分の巻いた種は自分で刈り取る。

「DAMN.」の色が赤であり、「辛い真実」を指しているのであれば「辛い現実」がマトリックス(仮想世界)と相反するものだと解釈ができるであろう。このアルバムはとても多面的で、彼が心が把握しづらいのであるが、「憎悪が本質となっている人々のなかで、そもそも上っ面で仲良し感を出してきた世界は嘘」という仮想世界を語っている説も考えられる。差別がなくなったと思い込んでいたが、国のリーダーが変わっただけでここまで人々の態度が豹変するということは「自分たちが生きていた世界が仮想だった」のかもしれない。このマトリックス、偽の世界というレファレンスも上記の説において強力な要素になるだろう。

 

赤いピルから摂取の理由?


しかしそうなると何故現実に向かわせる「赤」からリリースしたのであろうか?ここは誰もそう思うだろう。これも私の予想でしかないのだが、「赤」をリリースしたことではなく、私たちが「赤のピル」を摂取したと考えると少し辻褄が合う可能性がある。今まで仮想の世界に住んでおり、上っ面の関係性で保っていたが、国のリーダーが代わった/「DAMN.」がリリースされたことにより、皆がケンドリックのリリックで現実を見るようになる。既に仮想世界にいたと考えると青を摂取しても何も変わらない。「既に仮想世界にいる→現実を見せる→どちらのアルバムかを選ばせる」という流れであればとても面白いと感じる。

また、ケンドリックが仮想世界にいた可能性/説もある。彼はgkmcとTBAPにて「社会問題を素晴らしい作品で提示し、アート作品として世に知らしめた」と評価されている。しかし「DAMN.」にて度重なり言われているようにFOX Newsなどの「パワーを持ったマスコミ」には「ケンドリックのリリックの内容は警察が悪い人と決めつけている」と言われてしまっており、彼はそれに憤りを感じているのだ。彼は先程の2作品にて「賞賛」を得て、自分が社会のためになっていると感じていたが、現実はなかなか上手くいかないということで「赤いピル」を摂取した気分になったのかもしれない。しかしアーティストとしてはやらないといけないことは変わらないので、再度「青いピル」を摂取し、辛い現実に負けずに自分が「理想」とした活動内容を進めていくという切り替わりなのかもしれない。

 

リリース日:聖金曜日/復活祭の日曜日


以前投稿した「DAMN.」関連記事にて「聖金曜日」について書いたのを覚えているだろうか?そう、4月14日といえばキリスト教の2017年においての聖金曜日であり、キリストが亡くなった日と一致する。ケンドリックはクリスチャンであり、gkmcのイントロでも神をレファレンスしている。「Humble」のMVでも自身を「最後の晩餐」のキリストになぞっており、自分が「神」のポジションにいることを示している。

さらに「DAMN.」の1曲目「Blood.」ではケンドリックは撃たれて死ぬのだが、「Duckworth.」では生き返るのだ。(Duckworth.のストーリーがとても面白かったため後日解説します。)そう考えるとキリストが「4月14日の聖金曜日」に亡くなったのと一致するので、とても面白い視点でアルバムを聞くことができる。しかし日程がピッタリ合うのはそこだけではない。キリストは亡くなった3日後に復活するのだが、2017年においてキリストが復活するとされる「復活祭/イースター」は4月16日なのである。

そして「ケンドリック」「4月16日」というキーワードで何か思い浮かべることがあるだろうか?そう、当初米国外の「DAMN.」のリリース予定日がしばらく4月16日になっていたのだそちらに関してはこちらの記事に書いたので是非チェックしてほしい。これは単なる偶然だろうか?偶然だとしたら上手く日程が当てはまりすぎている感じも否めない。さらに今年の頭にケンドリックが「次のアルバムを早急に世に出さないといけない。次は”神”の存在で解決策を感じさせるものになる。」的なことを語っていたインタビューがある。4月16日という日程は既にケンドリック関連で出てきており、「キリスト」「聖金曜日」「復活祭」「インタビュー内容」というタイムラインが全て一致しているのだ。ここまで来ると単なる偶然ではないと感じる。「Humble」のMVもかなり急ピッチで撮影/編集がされたようで「聖金曜日」に合わせて「早急」に制作する必要があったという説も有力になる。

 

架空のトラックリストの存在


今回アルバムがリリースされ、以前出回っていたトラックリストがデマだったと証明された。

しかしこれがデマではなく、本物だったとしたら?

これはただの私の個人的希望でしかないのだが、「青」のアルバムのトラックリスト/クレジットが流出していたものだったとしたら?これはとても興味深い内容である。一旦「違うんか…」と思わせ、再度希望を与える。もしこれが実現したら鳥肌モノであり。むしろ考えるだけで既に鳥肌が立っている。

 

コーチェラ配信


今週の日曜日はケンドリックがヘッドライナーで出演するコーチェラのライブ配信があるのだ。もし彼が何かをリリースするとしたらコーチェラのライブ配信と何かしら絡めてくる可能性がある。ステージにて何か壮大な演出があるのではないか?(4月17日追記:特に何も発表はありませんでした…

 

「青」のアルバムは「NATION」か「GOD」説


「神」と宗教に関連する言葉で「Damnation(地獄への破滅)」という単語がある。これに関してはDAMN.とNATIONとくっつけるとNが余分になるので、あまり有力な説ではないな、と考えていたが、米ツイッターにもこの説を唱えている人が多数いるようだ。

もしこれがケンドリックの考えていることであれば、彼のアート性と脳内がとても恐ろしくも感じる。

さらにまだ恐らくどこもフォーカスしていないのが「.」の存在である。私も完全に「.」の存在の意味を深く考えていなかったのだが、これについて一つ可能性が思い浮かぶ。「.」は文章の最後に来る句読点と考えると、もしかしたら「青→赤」の順に組み合わさると全曲のタイトルに何かしらの意味を持つのではないだろうか?何故赤を最初にリリースしたのに赤に「.」が付いているのかは、そうしたほうが伏線的な意味を持つからとしか言えない。「DAMN.」の前につき、ケンドリックのコンセプトに合う単語といったら「GOD」であると感じる。合わせて「GODDAMN.(ガッデム)」になるが、現在の社会を表している可能性もあり、復活の日曜日に「GOD」として復活するということなのかもしれない。2つのアルバムアートワークをくっつけたとき、先に青が来る方がバランスがいいとも感じる。

 

Futureなどが2枚のアルバムを立て続けにリリースしたのもあり、近年のトレンド?なのかもしれないが、もしこのコンセプトにてリリースされるとしたら、ケンドリックはまさに天才とも言える。この壮大な世界観と綿密に計算された戦略は、軽く陰謀レベルのスケールであると感じる。エミネムやラキムが「ラップ神」とされているかも知れないが、彼のこの一連の流れが本当だとしたら鳥肌が止まらないほどの一大イベントとなるだろう。考えすぎているのかも知れないが、世界の情勢、ギャングとマトリックスに絡めた赤と青、理想と現実、流出した「架空のクレジット」、コーチェラ、全てが噛み合ったとしたら、ケンドリックが最も偉大なアーティストであることに異論はない。

ライター紹介:渡邉航光(Kaz Skellington)カリフォルニア州オレンジカウンティー育ちのラッパー兼、Playatunerの代表。FUJI ROCK 2015に出演したumber session tribeのMCとしても活動をしている。