フューチャー・ソウル/オルタナR&Bコンピ 「Fresh RnB」の楽曲解説 & 1聴レビュー
フューチャー・ソウル/R&B
はまさに世界的な盛り上がりを見せている。英BBCが毎年度発表する「ブレイクが期待される新人リスト Sound of 2017」では約半数がアーバン・アーティストが占めているのも事実である(過去の受賞者はアデル、サム・スミスなど)。
そんな世界の「音楽ファン」の心と耳を癒やす、極上ネオ・ソウルにスポットを当て、国内外問わずコンパイル&極上DJミックスしたコンピレーションアルバムが、この度発売となった「Fresh RnB」だ。この「Fresh RnB」は殿堂マンハッタンレコードが仕掛けるプロジェクトである。【デジタル版】が5月26日にリリースされ、【CD版】が1週間後の 6月2日にそれぞれ全国リリースされる。
iTunes:FRESH RnB – Good Vibes & Neo Soul collection (presented by Manhattan Records) – Various Artists
今や世界的な成功を収めたAnderson .Paak(アンダーソン・パーク)、The Internet(ジ・インターネット)、Flumeフルームといった、グラミーノミネートアーティスト達の楽曲が収録されている。また、今ではトップアーティストになった彼ら以外にも、米ビルボード誌「2017年注目すべきアーティスト」選出のオルタナR&Bの新星Khalidや、ドレイクの最新作にも参加した19歳のUKシンガーJorja Smithなども収録されている。その他にもJMSN、The Playlist、今夏マンハッタンレコーディングスよりデビューアルバムのリリースが控えているNYのChris McClenneyも参加している。
一聴レビュー
このコンピレーションの特徴としては、Anderson .Paakなどのヒットアーティストも収録し、近年のソウルミュージックの世界へとリスナーを誘いながらも、今回が「日本初上陸」となるアーティストも収録していることである。そこまで詳しく追えていないが、近年のフューチャーソウルの雰囲気が好きで、新しい曲も発見したいという方にはピッタリなコンピだと感じる。コンピの序盤は4つ打ちのノリノリ、かつリラクシングなスタートから踊らせてくれる。WonkやKan Sanoなど日本のアーティストも収録されているので、ライブに行きたい!という気持ちになった方も楽しめる作品だろう。このなかでも一番印象に残ったのが、Cold Chilling CollectiveのSnoop Dogg「Gin & Juice」カバーである。あのG-Funk代表作がこんなお洒落になっちゃった!と驚くアレンジである。
さらに曲の解説も頂いたので、いくつか掲載させて頂こうと思う。
Sinead Harnett – Rather Be with You
ディスクロージャー、ルディメンタル作品等へのゲスト参加でも知られるロンドンの新進女性シンガー・ソングライターによる注目曲。プロデュースは元ワン・ダイレクション、ゼインとのコラボ作もヒット中、センス抜群のプロデューサー・デュオ、スネイクヒップス。
Anderson .Paak – Am I Wrong (feat. ScHoolboy Q)
現行のR&Bシーンを変えたといってもいい程の衝撃作にして、グラミー賞ノミネートアルバム「Malibu」からのスクール・ボーイQを迎えた泣く子も黙る人気曲。イントロのブレイクが気持ち良すぎなのでちょっくら擦ってみました。Anderson .Paakに関しては彼の歴史も是非チェックしていただきたい。
The Internet – Dontcha
LAの新進気鋭のネオソウル・バンド、ジ・インターネットの傑作『FEEL GOOD』からのシングル曲。彼らの存在をしらしめた今もなお”フレッシュ”な代表曲ですね。因みにこの曲のプロデューサーの一人は最近嘘の引退報道をしたネプチューンズのチャド・ヒューゴ。
Chris McClenney – Otherside
多数の米音楽メディアからもその才能を絶賛されている、NYを拠点とする新鋭マルチミュージシャンのジャジー&スムースな1曲。早くから世界のネオ・ソウル系プレイリストではバズを見せている当曲は、7月リリース予定の日本デビューアルバム『Portrait in Two (JP Edition)』からの先行カット。ブロッコリーでお馴染みD.R.A.M.のプロデューサーも務めている。
WONK – savior
日本が誇る世界水準のエクスペリメンタル・ソウル・バンド、WONKの早耳リスナーの間でも話題沸騰だった極上グルーヴィー・チューン。PlayatunerではWonkのスペシャルインタビューを公開しているので、是非こちらもチェックして頂きたい。
Phonte & Eric Roberson – It’s so Easy
Little Brotherの一員として、さらにリリシストとして半端ないスキルをもったPhonte。最近ではRobert GlasperによるMiles Davis企画作品の参加などで知られる彼ととインディーR&B界きっての実力派Eric Robersonとのコラボアルバム「TIGALLERRO」からの“バッキインザデイ感”ハンパないソウルフルチューン。Phonteのヴァースが気になる方は是非Little Brotherの「The Minstrel Show」を是非聞いてほしい。
このように近年の音が詰まったコンピレーションとなっている。プレイリストと同じように、同じ括りの中で、新しいアーティストや音楽を発見したいときにこのようなコンピレーションはもってこいだろう。このコンピレーションが気に入った方は、ケンドリック・ラマーの「DAMN.」にフィーチャリングされていたZacariも気に入るだろう。
ライター紹介:渡邉航光(Kaz Skellington):カリフォルニア州OC育ちのラッパー兼Playatunerの代表。umber session tribeのMCとしても活動をしている。
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